個人サイト運用のKPIをどう決めるか:段階別に見るべき数字


サイトを立ち上げてから、気づけば毎日アクセス数を眺めています。増えれば嬉しく、減れば落ち込む。ただ、あるとき気づきました。この数字を見て、筆者は次の行動を何も変えていない。ただの天気予報になっている。仕事の世界ではKPIという言葉が当たり前に飛び交いますが、個人サイトのKPIとは何を指せばいいのか。定義に立ち返って考え直してみました。

KPIは成長段階で入れ替えるもので、初期は「見つかる」、成長期は「読まれる」、収益期は「RPM」を見ます。

KPIとは「途中経過の点検数字」のこと

まず言葉の確認から。百科事典によれば、KPI(重要業績評価指標)は、目標達成に向かうプロセスが順調かどうかを点検するための最重要指標で、短期間で結果が分かる数値を日次・週次・月次で確認していくものです※1。対になるKGI(重要目標達成指標)は、売上高のような最終目標を1年、5年といった長期間で測ります※1。

ブログに当てはめると、KGIは「1年後に月1万円の広告収益」のような到達点。KPIはそこへの途中経過を示す週次の数字です。ポイントは、KPIが「点検のための」数字だということ。見ても行動が変わらない数字は、定義からしてKPIではありません。毎朝のPV確認が天気予報になっていた筆者は、つまりKPIを持っていなかったわけです。

初期のKPI:「見つかる」を測る

開設して数か月のサイトでPVをKPIにすると、ほぼ確実に心が折れます。検索エンジンに認識されるまで、PVは打ち手と関係なくゼロ近辺を這うからです。この時期に点検すべき途中経過は、読まれることより手前の「見つかること」です。

具体的には、Search Consoleで見られるインデックス登録数(何ページがGoogleに載ったか)と検索結果の表示回数(インプレッション)です。クリックされなくても、表示回数が動き始めれば「Googleの検索結果に出る」という関門は通過しつつある。このブログに入れた計器類でいえば、初期の主役はGA4ではなくSearch Consoleだ、ということでもあります。

成長期のKPI:「読まれる」を測る

表示とクリックが立ち上がってきたら、ようやくPVがKPIの席に座ります。ただしPVだけだと「開かれたが読まれていない」を見逃すので、質の側の点検にはGA4のエンゲージメント率を使います。

GA4の定義では、10秒以上続いた、キーイベントが発生した、ページビューが2回以上あった、のいずれかを満たすセッションが「エンゲージメントのあったセッション」で、その割合がエンゲージメント率です※2。直帰率はその裏返しで、エンゲージメントがなかったセッションの割合※2。つまり「開いて10秒未満で何もせず去った人がどれだけいるか」が測れます。深掘り記事を看板にする当ブログの場合、PVが伸びてもエンゲージメント率が下がるなら、タイトルと中身がずれてきた警報だと解釈できます。GA4側の初期設定を済ませてあれば、この数字は標準で見られます。

収益期のKPI:RPMという分解道具

収益化の段階に入ると、AdSenseのレポートにRPM(インプレッション収益)という指標が出てきます。定義は広告表示1,000回ごとの見積もり収益額で、計算式は「(見積もり収益÷ページビュー数)×1,000」。公式ヘルプの例では、25PVで収益0.15ドルならRPMは6ドルです※3。

この指標の使い道は、収益をかけ算に分解できることです。収益=PV×RPM÷1,000。伸び悩んだとき、PVが足りないのか、1,000PVあたりの単価が低いのかで、打ち手はまったく違います。前者なら記事と検索流入の問題、後者なら広告配置やジャンル単価の問題。ひとつの数字を2つに割るだけで、「頑張る」が「どこを頑張る」に変わります。

調べても分からなかったこと

  • 個人ブログのエンゲージメント率やRPMの「平均値」。参考にできる信頼性の高い公開ベンチマークは見つけられませんでした。ジャンル・国・流入元で大きく変わる数字なので、他人の平均より「自サイトの先月」と比べるのが現実的なようです。
  • KPIという概念の初出。経営学の用語として広く使われていますが、誰がいつ提唱したのかをたどれる資料には届きませんでした。

まとめ:段階ごとの計器盤

段階KGI(遠くの目標)の例KPI(途中経過の点検)※1主な道具
初期検索から人が来る状態インデックス数・表示回数Search Console
成長期読者がつく状態PV+エンゲージメント率※2GA4
収益期月◯円の収益PVとRPM※3に分解して点検AdSenseレポート

一般論だけだと絵に描いた餅なので、余白LABで実際に使う週次チェック表(実物)も置いておきます。毎週月曜に、この3行だけを埋めます。

見る数字場所判断ルール
インデックス済みページ数Search Console記事総数との差が3以上 → 未登録記事をURL検査にかける
検索表示回数(週間)Search Console2週連続で前週割れ → 新記事を止めて既存記事のリライトを優先
エンゲージメント率(記事別)GA455%を下回った記事 → タイトルと導入文を点検

閾値の55%は初期の仮置きで、運用4週分の自サイト平均が取れた時点で「自分の平均−10ポイント」に差し替える予定です。他人のベンチマークが見つからない指標は、自分の過去を基準にするしかない、というのが前章までの結論の実践でもあります。

大事なのは、全段階の数字を毎日ぜんぶ見ることではなく、いまの段階の数字だけを決めた周期で見て、動かなければ打ち手を変えることです。KPIの定義が「点検のための指標」である以上※1、行動につながらない数字ウォッチはKPI運用ではなく、ただの習慣です。筆者はまず、毎朝のPV確認を週1回のSearch Console確認に置き換えるところから始めます。

参考文献・出典

※1 : 「KPI(ケーピーアイ)とは? 意味や使い方」 |コトバンク https://kotobank.jp/word/KPI-22888

※2 : 「[GA4] エンゲージメント率と直帰率」 |アナリティクス ヘルプ(Google) https://support.google.com/analytics/answer/12195621?hl=ja

※3 : 「インプレッション収益(RPM)」 |Google AdSense ヘルプ https://support.google.com/adsense/answer/190515?hl=ja

よくある質問

KPIとKGIはどう違うのですか?

KGIは売上高のような最終目標を長期間で測る指標、KPIはそこへ向かう途中経過が順調かを短い周期で点検する指標です。ブログなら「1年後に月1万円の収益」がKGI、「今月の検索表示回数」や「エンゲージメント率」がKPIにあたります。

GA4のエンゲージメント率とは何ですか?

「エンゲージメントのあったセッション」の割合です。10秒以上続いたか、キーイベントが発生したか、ページビューが2回以上あったか、のいずれかを満たすセッションがエンゲージメントありと数えられます。直帰率はこの逆で、エンゲージメントがなかったセッションの割合です。

AdSenseのRPMとは何ですか?

広告表示1,000回あたりの見積もり収益額です。計算式は「(見積もり収益÷ページビュー数)×1,000」で、たとえば25PVで0.15ドルの収益ならRPMは6ドルになります。収益はPV×RPMに分解できるため、どちらを伸ばすかで打ち手が変わります。